人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか
人間の誤信・迷信・思い込みがいかに発生するかわかりやすく書かれていて、それらをひとつひとつボコボコにしてくれる本。
章タイトルがそのまま人間の性質になっているので羅列してみる。
・何もない所に何かを見る(ランダムな発生にもかかわらず法則性を見出してしまう「流れ」論)
・わずかなことからすべてを決める(必要条件と十分条件の混同)
・思い込みでものごとを見る(あいまいなデータを先入観で解釈する)
・ほしいものが見えてしまう(好みの情報を多く取り入れ、正しいと考えてしまう)
・噂を信じる(人づての誇張や省略された情報をもとに考えを作る)
あらためて見ても全部自分にグサっとくるな……
このような性質を実例や引用を交えてひとつひとつ解説してくれるので、読んでいてとても楽しい。
特にこの部分はありえないくらいグサグサっと来たので引用させてほしい。
"もっと一般的に言えば、私たちは、自分の好む結論と自分が嫌う結論とに別々の評価基準を用いがちだということである。"
"自分が信じたいと欲している仮説に対しては、仮設に反しない事例を捜してみるだけである。…(中略)…これに対し、信じたくない仮説に対しては、そうした忌まわしい結論にどうしてもならざるをえないというような証拠を捜すことになる。"
"私たちは往々にしてこうしたやり方で質問を形作り、客観的な基準で判断を下しているつもりのまま、自分が信じたいと思うことがらを正しいと信じることにまんまと成功しているのである。"
はい。
やってますねこれ。
こんな感じで自分の誤信・思い込みに気付き、自戒するのにとても良い本だと思いました。まる。